田名向原遺跡(たなむかいはらいせき)は相模川まで150m、最寄りの駅はJR原当麻(はらたいま)で徒歩だと35分かかります。
開園時間は午前8:30~午後6:00(11月~3月は午後5:00まで)無料
文化庁国指定文化財等データベースで、「向原遺跡」で検索し詳細解説を読むと
旧石器時代の人々は遊動生活を送り,落し穴・礫群・石器集中地点を除けば,ほとんど土地に生活痕跡を残さない。このような状況の中,旧石器時代末に当たる本遺跡の遺構は、炉跡、柱穴と思われる穴,外周の円礫群などを持つ日本最古の確実な建物跡である。
とされています。
赤丸で囲った部分が炉跡で、円状にタグの乗っている部分が柱穴とされています。このレプリカの1.5メートル下に保護層で覆われた実物が保存されています。
想定復元模型は、公園の向かいの相模原市立史跡田名向原遺跡旧石器時代学習館に展示されています。
この住居状遺構は約2万年前のものとされ、日本一古い旧石器時代の建物跡とされているようです。
向原遺跡公園には旧石器時代の遺構のほかに、縄文時代中期の竪穴住居跡、1,400年前の古墳時代の円墳なども発見され、復元展示されています。
2016年に火災によりレプリカが全焼したそうですが、現在は復旧しています。(史跡田名向原遺跡公園の縄文時代復元住居火災について PDF)
およそ5000年前のものと思われる竪穴住居からは土器と石器が出土しています。
谷原古墳群(たにはらこふんぐん)は相模川上流部最大の古墳群で、相模川ぞいの段丘に作られています。14基発見され、いずれも7世紀前半を中心とする古墳時代後期のものとのことです。
史跡田名向原遺跡公園には復元された12号墳のほか、位置表示されている14号墳と13号墳があります。円墳です。
谷原古墳からは武具やアクセサリーが出土しています。
黒曜石の産地推定で最も多く検出されたのは長野県の蓼科エリア、次いで静岡県天城、神奈川県箱根、長野県和田、栃木県高原山エリアと続くそうです。
この地域における旧石器時代の人々の移動範囲をうかがい知れます。集団同士が出会って黒曜石との交換などもしたのかもしれません。
道路を隔てて旧石器時代学習館(旧石器ハテナ館)があります。
隣には公園があり、お子様たちが沢山集まっていました。
人形の展示では、旧石器時代の人々の暮らしを紹介しています。
掻器と呼ばれる石器で皮をなめす様子。
田名塩田遺跡群出土黒曜石原石は、石器製作の材料と考えられる黒曜石の原石9点がまとまって発見された希少な出土事例で、旧石器時代の石器製作と黒曜石産地からの石材搬入を考える上で重要な資料である。このため、相模原市の文化財として指定することが妥当である。
文化遺産オンライン より
加工しやすく鋭い黒曜石は旧石器時代の人々にとって、とても貴重なものだったと思われます。相模川が近いので、魚を突いたりもしていたのでしょうね。
黒曜石の産地というのがあって(Wikipedia 黒曜石 日本における産地)、この田名向原遺跡で発掘された黒曜石の原産地は上の写真のようになっています。神津島に至っては、いったいどうやって持ち帰ったのでしょうか。意図的な往復航海が行われていたのでしょうか。もしかしたら陸が繋がっていたのかもしれませんね。
詳細はわかりませんが、旧石器時代に役立つ黒曜石を求めてはるばる取りに行った人たちがいたというのはロマンのある話です。
旧石器学習館は入場無料です。遺跡公園含めて旧石器時代に思いを馳せてみるのも良いですよ。
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