出水麓歴史館に車を停めて、周辺の武家屋敷群がある雰囲気を見に行きましょう。(上の写真は帰る直前に撮ったので、夕刻の雰囲気になっています。)
日置流腰矢指矢(へきりゅうこしやさしや)
出水市 市指定文化財(無形文化財・史跡)19-20 より
古武道としての弓道において、軍陣(実戦)の射法を今に伝えているものは薩摩日置流の腰矢指矢だけである。奇数偶数交互に矢を放ち、両翼は左右後方まで制圧しながらじりじりと前進する。射法は、膝射ち以下の低い姿勢で、間断なく矢の雨を浴びせて敵陣に突入するものである。東京オリンピックでも披露された出水の誇るべき文化財である。
子供用に何種類か羽織が用意してあり、コスプレもできるようです。
駐車場で近所のおじさんが「夕方になるとランタンに明かりが灯るよ」と教えてくれました。ページの締めくくりにご紹介しますね。
出水市護国神社の御祭神は戦没者二〇五八柱の命(出水出身)。
豊臣側だった島津氏が徳川との間に和解が成立したのは慶長7年(1602年)。徳川幕府の一国一城令により城は鶴丸城一つとし、領内各地にあった山城は破壊されました。島津氏はたくさんの武士を擁していたため、各地に分散して農業をさせながら住まわせました。これが外城と言われ、外城の政治的中心地を「麓」と呼びました。(参考:出水市立歴史民俗資料館「麓武家屋敷」より)
石垣の上に植栽があるのがいいです。素朴な感じが好きです。
世界一の竹灯籠の街・出水市で開催する「いずみマチ・テラス」は、当時の出水市の人口と同規模の数である55,000本の竹灯籠で街を照らすイベントです。(略)
いずみマチ・テラス案内板より
江戸時代、薩摩藩は鶴丸城を本城とし、領内各地に外城と呼ばれる行政区画を設け、統治に当たっていました。外城における統治の中心地を麓と呼び、出水麓は藩内でもっとも古く大規模で、他の外城も出水にならったいわれています。
出水武家屋敷群案内図 より
出水麓は、平良川左岸の「向江」と現在重要伝統的建造物群保存地区にしていされている「高屋敷」の両武家地、そして間に挟まれた町人地からなっていました。
ここ「高屋敷」は、1600年頃から約30年程の歳月をかけて城山から米ノ津川に続く起伏の多い丘を整地し、道路を掘り、川石で石垣を築いて作られたと伝えられています。
右端にドラゴンランタンが見える場所です。
「竹添邸」「税所邸」は公開武家屋敷となっており「三原邸」は土日祝のみの公開となっています。(参考:出水麓街なみ保存会)
1587年島津平定のため太閤さんが立ち寄って腰掛けた石だそうです。
中を見れるようですが、入りませんでした。この日は急ぎ足で武家屋敷群を巡っていました。
この美しい佇まいは、住民と行政の不断の努力により維持されているので、何らかの変更を加える際には細かいルールが定められているようです。(参考:出水市「伝統的建造物群保存地区」)
諏訪馬場通りと仮屋馬場通りの交差点にある良い感じの商店。
五万石溝
出水市と高尾野町に跨る大野原洪積台地は、良い土地であるにも関わらず高度があり、川が無く水田とすることが難しかったそうです。
要約 出水市立歴史民俗資料館「展示資料解説シリーズ 五万石溝」 より
五万石溝は、米ノ津川の水を大川内下平野から取り入れ、山を迂回して大野原洪積台地に取り込もうという計画で、延長20キロメートルにも及ぶ物でした。
二十数年の歳月を経て享保19年(1734年)に完成しました。
しかし、北薩5万石の総力を結集した一大土木工事は難航しました。隧道は23か所に上り、最後の隧道(貫ぬき)は「シヲ女貫(じょぬき)」と呼ばれシヲという美人が、この工事の期間鹿児島から来ていた検者のご機嫌取りに酌婦として働いていたそうです。おそらく人身御供の側面があり、その功績を残したいという事で、この名を付けたのだろうという話です。
この工事によって609ヘクタールを灌漑する大工事が完成しました。
毎年起こる土砂崩れのための浚渫とそれにかかる費用、明治になると昔のように夫役(労働で納める課役)が無くなり、農民が門割制度から解放され、溝は溝の関係者が維持管理することになり、負担が増し年々荒廃していったそうです。
その後、国営出水平野水利事業(昭和42年~53年3月)の近代工法を駆使した畑灌漑事業が完成し、五万石溝は役割を終えたのでした。
土は掘って見ないと分からないので歴史を振り返ると、報われない土木もあるなぁ…と思ったのでした。
出水小学校の位置にあった出水郷の地頭仮屋の正門で通称「御仮屋門」と呼ばれています。(参考:日本遺産ポータルサイト「出水御仮屋門」)
出水麓歴史館に戻ってきました。
ここで「軽羹:かるかん」を買いました。(参考:農林水産省「うちの郷土料理 かるかん 鹿児島県」)軽羹を齧りながら、次の予定などを車で相談していると、良い感じに陽が落ちてきました。
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