【鹿児島】JAXA内之浦 宇宙科学資料館②

各種ロケット

各種ロケットの「SS-520-5」はsmallest orbital rocket(最小の軌道ロケット)としてギネス世界記録に認定されています。軌道投入した衛星は今でいう3Uぐらいの超小型衛星「たすき」で、SS-520-5は高さ9.54m 直径0.52mです。

JAXA内之浦

前回に引き続きJAXA内之浦宇宙科学資料館です。訪れたのは2023年11月18日。

宇宙開発のあゆみ

平成15年(2003)10月に宇宙科学研究所(ISAS)、宇宙開発事業団(NASDA)、航空宇宙技術研究所(NAL)が統合し、独立行政法人「宇宙航空研究開発機構」(JAXA)が発足しました。

地上燃焼試験に使用したM-4S(ミュー)型ロケット第一段ノズル(左)とM-4S型ロケットノーズフェアリング頭部(右)
M-4S頭部
M-4S型ロケット

日本初の人工衛星「おおすみ」を打ち上げたL-4S(ラムダ)の後に、より大型のM(ミュー)シリーズが1970年~2000年代にかけて活躍。

建物の中心空間には模型が飾られています
M-3S型ロケット尾翼部
留めている方法が面白いです

日本のロケット開発には様々な制約があります。日本初の人工衛星「おおすみ」を打上げたL(ラムダ)型ロケットも、誘導装置はミサイル開発につながり、軍事転用可能だからダメと言う日本社会党からの国会での指摘により、「無誘導打上げ方式」という手の込んだ方法での軌道投入を取り入れました。

M-4S型ロケットの概要

M-4S型(ミュー)はそのL-4S型(ラムダ)から引き続き無誘導打上げ方式を採用。その際に利用する小型モーターが展示されていました。

第1段は空気力で安定(空力安定)させる。第2段は燃焼中にスピンをかけ、空力安定とスピン安定を併用する。第3段は第2段から引き継いだスピンで安定を保つ。第3段燃焼終了と同時に第4段の姿勢制御を開始し第3段軌道の頂点における局地水平に向ける。第4段モーターは第3段軌道の頂点で点火し、衛星を軌道に投げ込む。

この姿勢制御を容易にするため、第3段燃焼終了後にデスピン・モータによってスピンを停止してから制御を開始し、制御終了後に再びリスピン・モータでスピンを与えて第4段燃焼中の姿勢安定を図る。すなわちただ1回の姿勢変更によって衛星軌道を成立させようというのが、「無誘導打上げ方式」の眼目であった。

ISAS 無誘導打上げ方式とは
M-4Sロケットに用いている各種の小型モーター
飛び出しフレーヤ装置(M-4S型ロケットの第2段後部に取り付けられた)(奥)とS-520型ロケット用尾翼(手前)

GFRP(ガラス繊維強化プラスチック)と炭素繊維強化プラスチック(CFRP)の積層された尾翼で軽量化をはかった。

M-4S型ロケット第2段推力方向制御装置(TVC)(手前)とM-4S型ロケット姿勢制御装置エンジン部(奥)
横から見たTVC
TVCの仕組み、SMRC装置とSJ装置
M-4S型ロケット姿勢制御装置エンジン部(手前)と、奥はロケット用火工器(模造品)

能代ロケット実験場は、1962(昭和37)年東京大学生産技術研究所(現在のJAXA宇宙科学研究所)の付属研究施設の一つとして開設されました。

開設と同時に、科学衛星および宇宙探査機の打上げに使われるM型ロケットや観測ロケットのロケットモータの開発を行うための各種の地上燃焼試験を行ってきました。

宇宙科学研究所 能代ロケット実験場
建物中央(上は「おおすみ」下は「しんせい」)

今回はここまで、次回は人工衛星展示のご紹介になります。

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