※この記事は一ダムファンとしての心情をつづったものです。「ダム部なら~」という記述は私の独断による推察と前置きしておきます。
城山ダムは相模川水系相模川の、県道413号を天端に乗せた洪水調節や利水を行う重力式コンクリートダムです。
”東日本で過去最強クラスの台風(日本経済新聞)”と呼ばれた台風19号が、10月12日午後7時前に伊豆半島に上陸しました。この記事は、上陸前から上陸後の城山ダムや風雨の状況、相模川の河川の水位などを観察しながら、一人ハラハラドキドキした1ダム部員による心情をつづった物語です。
上陸する前に城山ダムが緊急放流を17:00に行うと14:45分ごろ報道がされました。(城山ダムの水位上昇 午後5時から緊急放流へ 神奈川 NHKニュースウェブ)
「満月は14日、高潮の危険が高まっているこの中で、しかも放流予定時刻は満潮と重なっているが下流は大丈夫だろうか…」私はこう思いました。
もちろん放流したら、すぐさま水位の上昇が下流で起きるわけではありませんが、相模川の河川の水位の状況を見ても、楽観視できない状態でした。(そして何か悪いことが起これば、確実に満潮時に放流したからだと書きたてるメディアが出てくるのは予想されます。)14:00のダムの貯水位は-8.09m、まだ台風は上陸していませんから、緊急放流はいずれどこかでなされると予想される状況です。
ところがその後、ダムへの流水量が想定より少なかったため緊急放流は一旦見送りになりました。緊急放流の1時間前にお知らせとなったのです。(城山ダム緊急放流、当面見合わせ 「貯水量に余裕」朝日新聞digital)
刻々と上昇する河川とダムの水位を見守りながら、雨雲の動きを観察しながら緊張状態が続きます。そして台風19号は12日19:00前に伊豆半島に上陸しました。やってきた台風19号は激しい風雨をまき散らします。
時間がたつにつれ、各地で停電や土砂崩れのニュースが報じられるようになってきました。箱根では1日の雨量として、総雨量が観測史上最も多く870mmを越えたそうです。(経験のない大雨 1日雨量 箱根で全国歴代1位 tenki.jp)豪雨の音を聞きながらダム部は思ったはずです。
「台風19号よ早く去れ」
なぜなら城山ダムはもう限界に来ています。19:00の段階で城山ダムの貯水位は-2.61m。
そして緊急放流を22:00に行うというアナウンスが21:00前に出ました。(城山ダム 午後10時から緊急放流 流域で大規模水害のおそれ NHKニュースウェブ)すかさず上流の雨雲の状況と河川とダムの水位を確認します。
河川の水位は減少傾向でした。次の満潮は13日の4:28、21:00の城山ダムの貯水位は0.88m。数字だけ見れば溢れてます。うん、もう無理だ城山ダム…
「(緊急放流)やるならこのタイミングしかない…」ダム部なら思ったはずです。
そして緊急放流は21:30に前倒しのアナウンスがされました。相模川上流の雨雲を見ると、これから憂慮する激しい降雨は無さそうです。台風19号はハギビス(素早い)の名の通り、同じ場所で粘る様子もなかったので心底安堵した瞬間でした。
【台風19号】大きな浸水被害はなし 城山ダム緊急放流 カナロコ
結果として、緊急放流による大きな被害は起きませんでした。多くの人命を預かり本当に難しい調整を行ったダム関係者、城山ダムを作ることに理解を示してくれた住民の方々、そして城山ダムに拍手喝采感謝感激したのでした。翌日、城山ダムを見に行きました。
いつもはダム見学している人をあまり見かけませんが、この日はとても大勢の人がダムを見に来ていました。頑張った城山ダムとダム関係者をねぎらっているように思えました。
城山ダムも思いのたけを迸らせていて勇壮でした。動画も作ったので、良ければご覧ください。
城山ダム過去記事
コメント